プレスリリース、2014年4月21日

第14回 ニッポン・コネクション 映画祭 – プログラム完成のお知らせ

日本の夏をフランクフルトで
-100作品以上の映画と50以上の文化プログラム

ドイツ、フランクフルト市で開催される第14回日本映画祭「ニッポン・コネクション」のプログラムが決定しました。5月27日から6月1日世界最大級の日本映画祭では100作品以上の映画が上映されます。多くの作品はドイツ、ヨーロッパ、または海外でのプレミア上映です。奇抜なコメディー、人間ドラマ、ミニシアター系作品からサスペンス、最新のドキュメンタリーに至るまで多彩な作品を揃えました。日本から招かれた約50人の映画人、俳優、芸術家、そして観客が集う場所となるメイン会場は、アーティストハウス・ムゾーン塔(Künstlerhaus Mousonturm)と ナクソスホール内ヴィッリー・プラムル劇場(Theater Willy Praml in der Naxoshalle)です。他にもドイツ映画博物館(Deutsches Filmmuseum)、マール・ゼーン映画館(Mal Seh'n Kino)、ギャラリー・オイレンガッセ(ausstellungsraum Eulengasse)が会場となります。映画の他にも、展覧会、講演、ワークショップ、コンサート、グルメイベントなどが開催され、大人から子供までが日本文化の様々な面に触れられる機会となっています。

上映作品
日本は、年間400本もの新作映画が制作される世界で4番目の映画大国です。ニッポン・コネクションでは、厳選された多岐に渡る新作映画を紹介していきます。今年「ニッポン・シネマ」部門で上映するのは、カンヌ映画祭やベネチア映画祭でも評判の高かった是枝裕和監督の最新作、『そして父になる』。さらには、国際的に評価の高い青山真治監督のミニシアター系映画、『共喰い』などの数々です。同名の名作西部劇をリメイクした李相日監督の『許されざる者』は、舞台を19世紀の日本に移し、クリントイーストウッドの役を世界的スターとなった渡辺謙が演じています。

日本のコメディは、今やそのオリジナリティーが世界でも評価されるようになりました。水田伸生監督の奇妙な驚きに溢れる、しかし日本でならありそうな商売を描いた『謝罪の王様』。常に挑発的な作品を届けるスター監督、園子温の最新作『地獄でなぜ悪い』にも大いに期待が持てます。ヤクザが映画界に足を踏み入れる物語です。

その他にも、お馴染みの監督の作品も数々上映予定です。感動の恋愛作品、『100回泣くこと』の廣木隆一監督のフランクフルト入りも予定されています。山下敦弘監督は新作『もらとりあむタマ子』で、不満だらけだったタマ子が自分の道を見つける姿を描き出します。

カルト的監督、三池崇史監督の『悪の経典』は冷徹なホラー好きにはぴったりの作品です。初の日本とインドネシア合作になるスリラー作品、モー・ブラーザーズ監督の『キラーズ』はインターネット、ソーシャルメディア時代の殺人劇です。中村義洋監督のサスペンス、『白ゆき姫殺人事件』では、野心溢れるジャーナリストが殺人の真相を暴いていくのを、世界中が一緒にツイートしていきます。

世界中で愛される、日本アニメのファンには、第二回となる「ニッポン・アニメーション」部門が待っています。中でもハイライトのひとつは、全てがさかさまになる世界を描く、吉浦康裕監督の『サカサマのパテマ』。その他にも、映画化もされた伝説的漫画、AKIRAの作者、大友克洋監督の7年ぶりの作品となるオムニバス形式の『SHORT PEACE』。このショートフィルムにはアカデミー賞の候補にもなったアニメ作家、森田修平監督の作品も入っています。

次世代の監督達、自主映画などのフォーラムになっているのは「ニッポン・ビジョン」部門。最近のトレンドを反映する、新人のためのプラットフォームとして国内外の映画関係者から注目されています。多くの監督、映画人が各々の作品を自ら紹介し、観客からの質問に答えていきます。ここでのハイライトは、蔦哲一郎監督の詩的な映像美が印象的な『祖谷物語 おくのひと』と、井上淳一監督のメロドラマ『戦争と一人の女』でしょう。

あれから3年になる大震災は、今もなお日本に深い傷跡を残したままです。津波、原発事故被災地の人々や動物に捧げる、松林要樹監督のドキュメンタリー映画、『祭りの馬』、そして、堤幸彦監督のドキュメンタリードラマ『Kesennuma, Voices. 3』。聾唖者である今村彩子監督は、『架け橋 きこえなかった3.11』で、どのように聾唖者が震災とその後を生きてきたかを語っています。菅乃廣監督のドラマ、『あいときぼうのまち』は70年代から、いかに原発が地域に影を落としていたかを描いています。

回顧作品を紹介する本年の「ニッポン・レトロ」部門では、「The Wild Child of the Sixties」と題して中平康監督を取り上げます。中平康監督は(1926-1978)伝説の映画監督である黒澤明や新藤兼人などの助監督としてスタートし、56年にスキャンダルを巻き起こした『狂った果実』を監督し、日本のヌーベルバーグの先駆けとなりました。今回は、『狂った果実』の他に、50、60年代の日本の戦後世代を物語る8作品を紹介します。

コンペティション
今年は賞がひとつ新設され、4つの賞が授与されます。「ニッポン・シネマ賞」は10周年を迎えます。「ニッポン・シネマ」部門の作品から観客の投票で決定され、メッツラー銀行の提供により2,000ユーロの賞金が授与されます。「ニッポン・ビジョン」部門からは国際的な審査員によって「ニッポン・ビジョン審査員賞」が選出され、受賞者には東京の日本映像翻訳アカデミーより次回作の字幕翻訳が贈呈されます。「ニッポン・ビジョン」部門には今年初めて観客の投票によって決まる「ニッポン・ビジョン観客賞」が設けられ、受賞者にはフランクフルトの(社)日本文化言語センターより賞金1,000 ユーロが贈られます。「ニッポン・イン・モーション」をテーマとした12秒以内の超短編映像作品には「VGFニッポン・イン・モーション賞」が贈られます。賞金としてフランクフルト交通社VGFから250ユーロが授与されます。「VGFニッポン・イン・モーション賞」4月30日までニッポン・コネクションのウェブサイトwww.nipponconnection.com上で行われる投票によって決定されます。

ニッポン・カルチャー
ニッポン・コネクションで楽しめるのは映画だけではありません。映画を観る合間にぜひ日本食、マッサージ、売店なども体験下さい。様々なワークショップ、講演、コンサートも新しい発見となるでしょう。日本の伝統文化のファンには着物太鼓古武道(沖縄の伝統武術)、弓道剣道茶道などのワークショップがあります。さらには、料理教室字幕作成マンガワークショップでご自身の新たな才能を発見するのも楽しみもあります。ギャラリー・オイレンガッセ(ausstellungsraum Eulengasse)で行われるナターシャ・プフラウムバウムの写真展『Tokyo 24-70mm』では現代の東京の風景を垣間見ることができます。今年の目玉の一つと言っていいのは、初めて開催される「フランクフルト・グルメツアー」でしょう。他にも、琴奏者・歌手の中川かりんのコンサートも見逃せません。映画上映と平行してパネルディスカッション、監督らによるトークセッション、講演などが行われ、フクシマの現状、是枝裕和監督、60年代日本映画などのテーマが取り上げられます。

ニッポン・キッズ
小さな観客のためのプログラムも充実しています。日本の文化を楽しみながら学ぶ事が出来ます。6歳から12歳の子供たちのために、地蔵について、剣道、書道、弁当作りなどのワークショップが用意されています。こだまこずえによる絵画ワークショップ、紙芝居上映なども注目です。即興のドイツ語吹替え付のこども向け映画の上映もあります。

主催者
日本映画祭 ニッポン・コネクションは2000年に設立され、公益法人ニッポン・コネクションe.V. の約50人のボランティアスタッフによって運営されています。

詳細
www.nipponconnection.com
www.facebook.com/nipponconnection
twitter.com/NipponFilmfest

会場
アーティストハウス・ムゾーン塔(Künstlerhaus Mousonturm): Waldschmidtstr. 4, Frankfurt-Bornheim (メイン会場)
ナクソスホール内ヴィッリー・プラムル劇場(Theater Willy Praml in der Naxoshalle): Waldschmidtstr. 19, Frankfurt-Bornheim (メイン会場)
ドイツ映画博物館(Deutsches Filmmuseum): Seckbacher Landstr. 16, Frankfurt-Bornheim(「ニッポン・レトロ」のみ)
マール・ゼーン映画館(Mal Seh'n Kino): Adlerflychtstr. 6, Frankfurt-Nordend
ギャラリー・オイレンガッセ(Ausstellungsraum Eulengasse): Seckbacher Landstr. 16, Frankfurt-Bornheim (展示)

チケット
2014年5月2日より前売券の発売開始。
ドイツ全国のADticket窓口またはウェブサイト、www.nipponconnection.comもしくは www.adticket.de にて購入可能。

上映映画(一部)

ニッポン・シネマ(NIPPON CINEMA)

『謝罪の王様』 監督:水田伸生、J 2013
『ほとりの朔子』 監督:深田晃司、J 2013
『共喰い』 監督:青山真治、J 2013
『恋の渦』 監督:大根仁、J 2013
『100回泣くこと』 監督:廣木隆一、J 2013
『FORMA』 監督:坂本あゆみ、J 2013
『福福荘の福ちゃん』 監督:藤田容介、J 2014
『ジンクス!!!』 監督:熊澤尚人、J 2013
『キラーズ』 監督:モー ブラザーズ、J 2014
『旅立ちの島唄~十五の春~ 』 監督:吉田康弘、J 2013
『悪の教典』 監督:三池崇史、J 2012
『そして父になる』 監督:是枝裕和、J 2013
『MY HOUSE』 監督:堤幸彦、J 2012
『ナンバーテン・ブルース/さらばサイゴン 』 監督:長田紀生、J 2013
『ペコロスの母に会いに行く』 監督:森崎東 、J 2013
『R100』 監督:松本人志、J 2013
『ロボージー』 監督:矢口史靖 、J 2012
『白ゆき姫殺人事件』 監督:中村義洋、J 2014
『夏の終り』 監督:熊切和嘉、J 2013
『もらとりあむタマ子』 監督:山下敦弘、J 2013
『許されざる者』 監督:李相日、J 2013
『地獄でなぜ悪い』 監督:園子温、J 2013
『ヨコハマ物語』 監督:喜多一郎 、J 2013

ニッポン・アニメーション(NIPPON ANIMATION)

『忍者武芸帳』 監督:大島渚 、J 1967
『山村浩二スペシャル』(短編集)
『サカサマのパテマ』 監督:吉浦康裕、J 2013
『寫眞館』 監督:なかむらたかし、J 2013
『SHORT PEACE』 監督:大友克洋、森田修平、安藤裕章、カトキハジメ、J 2013
『陽なたのアオシグレ』 監督:石田祐康 、J 2013
『スペースダンディ 』 監督:渡辺信一郎、J 2014(テレビ番組)
『東京藝術大学アニメーション・スペシャル』(短編集)

ニッポン・ビジョン(NIPPON VISIONS)

『そして泥船はゆく』 監督:渡辺紘文 、J 2013
『螺旋銀河』 監督:草野なつか 、J 2014
『ぼんとリンちゃん』 監督:小林啓一 、J 2014
『こっぱみじん』 監督:田尻裕司 、J 2013
『架け橋 きこえなかった3.11』 監督:今村彩子 、J 2013
『わたしたちに許された特別な時間の終わり』 監督:太田信吾 、J 2013
『花火思想』 監督:大木萠 、J 2013
『友達 』 監督:遠藤幹大 、J 2013
『立候補』 監督:藤岡利充 、J 2013
『あいときぼうのまち』 監督:菅乃廣 、J 2013
『祭りの馬』 監督:松林要樹 、J 2012
『In and out of Japan』(実験映画集) 、J 2013
『神奈川芸術大学映像学科研究室』 監督:坂下雄一郎 、J 2013
『Kesennuma, Voices. 3』 監督:堤幸彦 、J 2014
『子宮に沈める』 監督:緒方貴臣 、J 2013
『ある精肉店のはなし』 監督:纐纈あや 、J 2013
『祖谷物語 おくのひと』 監督:蔦哲一朗 、J 2013
『つぐない』 監督:いまおかしんじ 、J 2014
『戦争と一人の女』 監督:井上淳一 、J 2012
『ゼンタイ』 監督:橋口亮輔 、J 2013

ニッポン・レトロ(NIPPON RETRO)

『夏の嵐』 監督:中平康、1956
『狂った果実』 監督:中平康、1956
『あいつと私』 監督:中平康、1961
『泥だらけの純情』 監督:中平康、1963
『月曜日のユカ』 監督:中平康、1964
『砂の上の植物群』 監督:中平康、1964
『猟人日記』 監督:中平康、1964
『 おんなの渦と渕と流れ』 監督:中平康、1964
『黒い賭博師ー悪魔の左手』 監督:中平康、1966