プレスリリース 2014年6月5日

第14回ニッポン・コネクション映画祭の授賞作品
心揺さぶる家族コメディー、日本のある精肉店についてのドキュメンタリー映画とサイコドラマが今年の受賞者に

6日間に渡って開催された、第14回日本映画祭「ニッポン・コネクション」は、観客を圧倒する数々の映画、人々の出会い、非常な感慨をもって無事終了しました。2014年6月1日(日)には、ドイツ、フランクフルトのアーティストハウス・ムゾーン塔(Künstlerhaus Mousonturm)にて、盛大な授賞式が執り行われました。運営者は映画祭の成功に、満足した表情を見せていました。数々の上映およびカルチャー・イベントは満員御礼となり、約1万6千人もの観客が訪れた今年のプログラムに良い反響がありました。また、今年は日本から来独した映画人やアーティストの数は70名にものぼり、かつて最多のゲスト来訪者数を記録しました。長年の後援者であるメッツラー銀行ゲアハルト・ヴィースホイ氏は、この未だにボランティアで企画運営されている本映画祭を、地域における非常に重要な機関であると述べました。フランクフルト日本総領事の坂本秀之氏も、「ニッポン・コネクションは人々を束ねる力がある」と強調しました。

観客投票で決定される今年のニッポン・シネマ賞は、森崎東監督に決定しました。このハート・ウォーミングな家族コメディー『ペコロスの母に会いに行く』では痴呆症をテーマとし、観客に時には笑いを、時には涙を誘う作品となりました。授賞金はフランクフルト・メッツラー銀行から協賛され、2000ユーロが授与されます。

今年初めてとなるニッポン・ビジョン観客賞においても、観客による投票は順調に行われました。その結果、纐纈あや監督によるドキュメンタリー映画『ある精肉店のはなし』が選定されました。監督は心のこもった視線をもって、ある小さな家族経営の精肉店の細部を描き出し、日本で未だに差別されている精肉業関係者の生き様に焦点を当てました。フランクフルトの(社)日本文化言語センターとの連携のもと、受賞者には1000ユーロの賞金が授与されます。

今年第5回となるニッポン・ビジョン審査員賞は、若手監督草野なつか氏に授与され、賞は授賞式にて直接、監督本人に受け渡されました。長編映画デビューとなる『螺旋銀河』では、人間関係の対照的な様に焦点が当てられました。国際的な顔ぶれで配置された当審査員は、ロッテルダムにおけるカメラジャパン・フェスティバルのアレックス・オースト氏、著名な映画評論家マーク・シリング氏、ハーバード大学の映画学者アレクサンダー・ツァールテン氏です。審査員は草野監督に対し、複雑なテーマを扱いつつ、熟考を重ねつつ、実験的な構成で仕上がった監督作品に、感銘の意を示しました。アレクサンダー・ツァールテン氏は、「次回作もぜひ拝観したい」と付け加えました。授賞にあたっては、東京の日本映像翻訳アカデミー(JVTA)より、次回作の字幕翻訳が贈呈されます。またニッポン・ビジョン部門においては、遠藤幹大監督の映画『友達』が、スペシャル・メンションを授与されました。当映画作品では、主人公の山本剛史氏の演技力が特に強調されました。

また、今回第3回目で最終回となる、フランクフルト公共交通社(VGF)の協賛で開催された、VGFニッポン・イン・モーション賞も授与されました。第1位に輝いた、クリスティーネ・マイ氏とダヴィッド・クラウスマイヤー氏による12秒の超短編映画『おにぎりの折り紙』は、オンライン投票により決定され、賞金として250ユーロが授与されました。

授賞式後には締めくくりとして、是枝裕和監督の映画『そして父になる』が上映されました。来年の「ニッポン・コネクション」は第15回目となり記念祭を迎えます。日程もすでに2015年6月2日〜7日と決定しており、来年もまた6日間に渡り、アーティストハウス・ムゾーン塔とナクソスホール内ヴィリー・プラムル劇場が、日本映画文化の中心街へと姿を変えることでしょう。